
【イラストレーター・池上幸輝】「練習」と題した1枚の絵が国内外から多大なる称賛を
2019年5月23日、彼がtwitterにアップした一つのイラストに多くの人々が驚き、感動し、共感を生んだ。「久しぶりに質感を描き分ける練習」と題した、草、木、石など全15種類の円柱の絵がズラリと並んでいる作品である。

これが絵だという言うのだから驚きだ。もはや練習の域を超えていると突っ込みたい。作品中の「水」と題した絵のグラスには、飲んだ跡と思われる口紅が薄っすらと残っているなど細部も徹底して描かれている。twitter上では、「絵?」「CGじゃないの?」「肌がリアルで怖いっ!でもスゴすぎるっ!!」など、誰もが目を疑いたくなるようなコメントで埋め尽くされていた。中には「This is insane good!(これは非常によい!)」など海外からもコメントが多く寄せられている。
そんな誰もが驚嘆する表現力がある池上さんの絵の魅力の一つとして、背景絵が挙げられる。作品「廃商店街の小さな夏」にある、ボロボロのアーケードから漏れ落ちる光の指し描写。そしてその光を浴びる廃商店街の中に立つ少女の姿に、どこか古き良き面影を連想させてくれる。彼の作品には、様々なシチュエーションから生み出される大きな背景画の中に、ポツンと佇む人物が描かれるものが多い。その世界に佇む少年・少女が一体何を思い、時に立ち、座り、佇んでいるのかを想像するのが面白い。

現在、様々なプリントアイテムを池上さんとandMade(現FACT101)で、意見を交わしながら現在、開発している。日頃から池上さんのアイテムグッズを希望している方々は是非とも楽しみにして頂きたい。池上さんにいくつか質問をしてみた。
Q1. 他のインタビュー記事で、高1から絵を本格的にスタートしたというのを拝見しました。もっと小さい頃から描かれているのかなと勝手に想像していたのですが(笑)高1の段階では、どのくらいの絵を描かれていたのでしょうか?
A. 学校とアルバイトの時間以外は結構描いていましたが、描き始めたころは趣味の側面も大きかったので、半年くらい描いてない期間もあったりしました。 趣味の側面がなくなったのはたぶん高校三年生くらいだったかなと思います。
Q2. 勝手な印象で申し上げて恐縮ですが、池上さんの作品の多くに背景画の比率が多いものが見受けられますが、そのような構図で書かれるようになったきっかけ等はございますか?
A.作品に統一感がある作家性に少し憧れがあったので、自身の作品もある程度の偏りを持たせてます。個人的に、人物を描くより背景を描く方が楽しかったのもあり、背景メインの絵を描く事が多いです。シンメトリー気味の構図の作品も多めにしています。
Q3. twitterを拝見していると、メイキング動画やラフ画などの作業工程を数多くアップするなど、SNSを通じた発信に力を入れられてる印象がございます。池上さんにとって、SNSというものは、どんな存在でしょうか?
A. いろんな利点があるのでできるだけ作品はあげたいなとおもってます。見た人の意見や印象の確認、絵の中にミスがないかなどもわかりますし、SNSを通じてお仕事を頂けることもあるので。
Q4. ちなみにtwitterでも話題になった「久しぶりに質感を描き分ける練習」の作品ですが、あれを描こうと思ったきっかけ、そしてどのように描いていったのか差し支えなければ教えてください。
A. 言葉の通りで、練習用と資料用につくりました。 マテリアルかき分け練習は多くのイラストレーターがされているので僕も同じようにやったという感じです。1日の空いた時間に1~2個描いていった感じです。描き方は質感ごとに違うので何ともいえないですが、基本厚塗りで描きました。
Q5. イラストレーター講師としても、ご活躍の池上さんですが絵を描くうえでのおススメ練習方法等はございますでしょうか?これからイラストレーターを目指す方々に何かアドバイス的なものを頂けますと幸いです。
A. あくまで個人的にですが、デッサンしながら知識を増やすのがいいと思います。絵の知識も、絵に少し関係のなさそうな知識も。アドバイスは特にないです。僕はまだまだ若手でアドバイス言えるほど上手くないので(笑)
Q6. 最後に池上さんにとって「絵を描く」とは何でしょうか?
A. 全然わからないです・・・。 もっと何十年も描き続けないと一言じゃ言えないです(笑)
池上さん、ご質問にお答えいただきありがとうございました。
池上 幸輝(いけがみ こうき)
SNSを中心に作品を発表する中、2018年5月にアップした 「久しぶりに質感を描き分ける練習」が、反響を呼び話題に。現在も広島にてイラストレーターの講師、作品の制作等を中心に活動。